天竜漫遊記

メンバー
隊長:飯田 武
飯田 香織
坂井 紀和
佐橋 夏樹

輪行の朝輪行の朝

 2000年11月4日(土)AM 4時00分 空は快晴?、と言うよりまだ暗い!いよいよ5年ぶりの輪行開始である。
 まず、三洋電機の寮へ今回の輪行メンバーの1人である坂井君を迎えに行き、手早く荷物を詰め込み、いざ集合場所のJR土岐市駅へ出発! 土岐市駅には6時15分に到着。集合時間より30分も早く着いてしまった。荷物の整理をしながら今回の輪行メンバーの残る2人、今回の輪行の計画立案者でもある、飯田夫妻を待とうと駐車場に入ると彼らの方が先に到着して、我々の到着を待っていた。
 普段は5分10分遅刻当たり前の暴君であるが、よほど今回の輪行を楽しみにしていたかしれない。
 天気も良く、トラブルも無い上々のスタートである。
 早めにホームへ入り,出発前の勇姿をパシ、パシ、パシ。

電車に乗って出発進行輪行

 そして、7時02分土岐市駅発、中津川行きの普通列車がやってきた。いよいよ本当の輪行開始である
 まず、この普通列車で中津川駅まで移動。今回、輪行初体験の坂井君も、問題無く無事乗車完了。
土岐市駅では、車内はさほど混んでいなかったが、徐々に学生達で賑わいはじめ、恵那駅を過ぎる頃にはほぼ満員になっていた。
 学生は女子高生が多く数分の間ミニハーレム状態を味わい、殿は御満悦である。
 中津川駅到着。降車も問題無く改札を抜ける。そして、飯田行きのバス”飯中ライナ−”をしばし待つ。
 近くに超豪華な観光バスが1台止まっている。まさか!と淡い期待をしてみたが、やはりというべきか、やってきたのは、普通のJRバスであった。ちょっと残念。
 バスに乗りこみ駒場停留場を目指す。バスは飯田とは逆方行に向かって進む。しかし、その解答はすぐに出た。飯中ライナーは、実は高速バスであったのである。そして、駒場停留場とは、阿智SAの事であった。
 阿智SAへ到着し、早速BIKEの組立に入る。周りの人達は、毎度のことながら、ものめずらしそうにのぞき込む。武ちゃんと坂井くんは、2、3質問されていた。

いざ天竜へ!

 阿智SAを出発し、昼食ポイント、下条村の道の駅を目指す。途中、何度か道に迷うも地図を頼りにひたすら進む。しかし、予想だにしなかったいきなりの登りが延々と8kmほど続き、出鼻をくじかれる。
 そして、昼食ポイントの道の駅を直前にハプニング発生!!
歩道の幅が1mもないトンネルを走行中、3番目に走行した紅一点、香ちゃんが、トンネルの壁と体を接触させバランスを崩す。体勢を整えたかに見えたがキャリアの荷物の重みで自転車の後部から車道へ落下!! 4番目に走行していた自分が、間一髪手を伸ばし自転車を引き上げ、事無きを終える。
 車道は交通量が多く非常にデンジャラスナ状態。一歩間違えたら…。いきなり肝を冷やす体験をした。
 肝を冷やしながらもなんとか道の駅に到着。 この道の駅、御城をモチーフに作られており、いかにも金掛をかけているという感じ。
 これと言っておいしいそうなものはなく、ドライブインお決まりのメニュー、ラーメン、焼そば等で昼食をすませる。

険しき天竜PART1

 道の駅を出発して15分ほど走ると今回の旅で初めて天竜川と御対面!
 川はどす黒く濁り、TVで見るインドか東南アジアの川を見ているようである。
 川を渡るとすぐにツ−ルドフランスを思わせる急坂が続く。一同さすがにへたってくるが、景色にすくわれ気分は案外上々!!

険しき天竜PART2

 ようやく登りが終り、景色を楽しみながら3km程下って行くと工事中の看板が、気にせず進むと工事中。道が無い!
 迂回路は、下ってきた道をまた戻らなければならない、どうするか相談をしていると工事現場にいたおじさんから引いてなら通ってもいいと許可がもらえた。
 おそるおそる絶壁を渡る!下は崖、上は今にも崩れそうな岩!岩!岩!危険は危険なのだが、これぐらいのハプニングが無ければ輪行じゃないね〜!

トレトレに遭遇

工事現場を突破しさらに進むと、またしても登りが。
さすがにリュックでの登坂は腰にくる。香ちゃんは多分相当きついだろーと思いつつさらに進む。
そんな時、ふと道端で気楽にテーブルを広げ、くつろいでいる男女に遭遇する。そのまま通過し数分後、彼らの正体が判明する。
先ほどの男女と遭遇してまもなく、疾風のようにキャメルバックを背負ったいかにもと言うライダーが自分たちを追い越していく。 ”トレトレか〜” 後から知ったのだが、当日、この近辺で野畑一家が、毎度の宴を開催していた模様!

険しき天竜PART3

 とにかく道が分からない!1本道なのに、小さな集落に入ると無数に道がある。1度ミスジャッジをし、上り坂4kmほどをロス!たった4kmだったが、体力の残量から言えば、結構効いたミステイク!
 案の定、予定より距離が延びていない。最後の峠越え(青崩れ峠)を控え打ち合わせをする。
1.今から峠越えをすれば、多分日没は必死!
2.JR飯田線でこの峠をエスケープすれば、17時00分前には今夜の宿に到着できる。
 疲れていた自分と武ちゃんは文句無く後者を選んだのだが、どうも坂井君だけはいざ峠へ!と言う顔をしていた。
 しかし、かつてTOMOSのタフな仲間達と行った徳島-高知間の輪行で、まさかの日没体験をし、遭難しかけた経験をしている武ちゃん、香ちゃん、そして自分の3人で、坂井君の冒険心を抑える。
 ということで、最後の峠越えを断念し平岡駅から1日目のGOLL地点、水窪駅まで輪行する。

忍者屋敷で御一泊

 無事、1日目の旅程(およそ 50km)を終え最初の宿泊地、水窪に到着。
  たどり着いた旅館(いづみや旅館)が、これが今にも崩れそうな日本建築。畳はふにゃふにゃ、音は筒抜け、おまけに建て増し建て増しで作ったような作りで,階段が複雑。さながら忍者屋敷のようである。宿泊中の誰が何をしてもすぐ分かるシステム?なので、カップルにはお勧め出来ない宿である。
 しかし、出てきた夕食は土地で採れたものばかり。極めつけは鹿肉の刺身。これがなかなか美味しく、気が付けばご飯を3膳もぺロリ!大満足のディナーであった。
 夕食後、疲れていたが、自分がお酒を飲みたかったので、酒屋へアルコールを仕入れに行き、今日一日の労をねぎらうべく一時の宴をもよおす
 翌朝、若干の頭痛はあったが、美味しい朝食をいただき2日目旅をスタートする。

山の緑と空の青

 初日,予想以上に体力を消耗したこと、前日の天気予報で午後からの天気が怪しいと予報が出ていた事から、2日目のルートは、山の峰を走る天竜スーパー林道ルートを断念し、天竜川を見ながら南下する国道152線ルートに決め、忍者屋敷を後に、午前8時:00分2日目のツーリングを開始する。
 30分、1時間走れど走れど、同じ所を走っているような錯覚に陥るくらい景色が変わらない。
 しかし、紅葉前の山の緑と空の青が鮮やかで、スケッチブックを広げ、しばしこの時間に浸りたい気分になる。
 さらに南下を続けると、川をはさみ国道と平行に走る県道があらわれたので、交通量の多い国道を離れこの県道を進む事にする。
 この県道は秋葉ダムまで続いていたのだが、まったく車が通らず、サイクリングには最適!
 今日は、ここまでのところ下りぱなしで、体力も消耗していない。この為、昨日と打って変わって会話もはずむ。おしゃべりを楽しみながら走り続けるとあっという間に休憩予定の秋葉ダムに到着。

秋葉ダムでのコーヒーブレイク

ダム到着後、缶コーヒーをGETしようと自販機へ向かうと、昔懐かしい当り付き自販機ではないか。思わずボタンを押す手に力が入る。 しかし、無常にもランプはハズレのところへ。とほほ…と思い取り出し口からコーヒーを取り出そうとすると、なんと自分が選んだコーヒーが3本も出ている。最初はいたずらかと思い、不安に感じたが、缶が熱かったせいもあり すぐに喜びに変わり、みんなに誇らしげに話す
 また、犬を連れた、このダムの名物おばーちゃんと思われるおばあちゃんが、秋葉ダムへ訪れてきたいろんな人にひっきりなしに話し掛けていたのが印象的だった。 このおばあちゃんの決めゼリフ「犬は犬好きな人が分るんです」 みんなに言ってたぞ−
しかし、ダムのような巨大なものを目の当りにすると、人間の小ささや非力さを感じてしまうのは、自分だけでしょうか?

つり橋は渡るもの!

 秋葉ダムに着く前にも1本あったが、天竜川には気のせいかつり橋が多かったような気がした。
 MTBを乗っている以上、どうにも渡らずにはいられなくなり、自分と武ちゃんが軽く笑みを浮かべながら、ようようと渡る。 いかにもツーリングと言った瞬間で、自己満足に酔いしれる。
 しかし、この橋の中央付近に置いてあった一輪挿しがちょいとブルーにさせる。 ちょいとだけですが……

山にさよなら…でもまた登り?

 スタートしてかれこれ4時間ほど走ると、両脇を固めていた山が姿を消す。いよいよ浜北市へと突入する。
 久々のコンビニで感慨にふけりながら昼食を買いこむ。 昼食のため高台にある鳥羽山公園へGO!しかし、この公園までの坂が今回の輪行で迎える、おそらく最大の斜度、15〜18%はあろうか。MTBのインナーLOWで、フロントが浮きそうになる。へいこら言いながらもなんとか公園に到着し昼食をとる。そして、今晩泊まる旅館にアクセスし、チェックINの時間までぶらぶらする。しかし、この時の電話の対応に今夜待ちうけている出来事の伏線が隠されていようとはだれが予想できたであろうか。

ここにもいたぞ!名物オバアチャン

 15時、およそ70kmの走行を終えて、2日目の旅館(はるな旅館)に到着。
 夕飯までTV観戦(PRAID11:強いぞ小川!)でくつろぐ。
 いよいよ御待ちかねの夕飯到来。メニューは、ポークソテー、煮魚(太刀魚)他で値段から思うと上出来上出来! しかし、食事中ズーット食卓に居座る影あり。
 それが、この旅館のおばあちゃんで食事中にもかかわらずおしゃべりが止まらない。 最初はすぐに終るものと武ちゃんと自分で交互に交代しながら話しをしていたが、そのうち同じことを何度も繰り返している事に気づき軽い笑いがもれる。ついに武ちゃんが、食事に没頭! 御年寄りには親切にがもっとーの自分とおばあちゃんのONE ON ONE での会話がはずむ?なごりおしくも?、「ゴチソウサマ」とそそくさと退散する。 それにしても一言も会話に参加せず、ひたすら食事をしていた坂井君に警告1。(3枚たまると扇屋で夕食1回おごり)

長い夜

 食事後、お酒の買いだしに行き、TVを見ながら2日目の酒盛りをする。今日は、日曜日と言うことで20時から笑う犬の冒険を見て大いに盛り上がる。 中でもハンサム侍にはまる。 「だって僕はハンサムだから」と言って、無理やりものまねさせる…説明しづらいので機会があればTOMOSで僕に切られてください。??
 輪行は明日も続くということで22時に床につく。
 しかし、今まで、だんまりだった坂井君がしゃべるはしゃべる!好きな女性のことや人生について延々2時間。決して、誘導や脅迫してしゃべらせたわけではございませんので勘違いの無いよう。
 そうこうするうちに時間も0時、 いい加減、寝るかと思いきや今度は蚊の襲撃にあう。坂井君がスースー寝ているのを横に、延々朝の3:30まで格闘する。
 翌朝、寝不足のせいで天気はいいのに気分はブルー。 「おばあちゃん、この宿はどないなっとんねん!」と、昨日のやさしかった自分は何処へやら。文句を言いたい気分だったが、そこは大人、ぐっとこらえる。

いざ海へ!

 3日目のSTART!
  あと30kmも走れば、いよいよ太平洋である。 途中、曇り空になるも軽快にペダルを回しゆるやかな流れの天竜川とともに南下を続ける。
 東名高速をくぐると、彼方に新幹線と浜松の駅ビル?を発見!
 SONYの工場も発見!
 うなぎパイでなく源氏パイの工場も発見!
 新幹線用のでかい天竜川の看板の下では記念写真をパシャリ!
 はしゃいぎながら走っていると遠くを見る視界から建築物などの姿を消えていく。 海が近い!
 最後の橋をくぐると、視界が広がる。思わず「武ちゃん!海まで競争だー」と堤防道路で快心のアタック!
 案の定、武ちゃんもアタックにすぐ反応してついてくる。荷物をつんでの45kmMAXは上出来!お互い33歳、アタックの後に待っていたのは,やはり軽い酸欠状態、年を取ったとなーとしみじみ感じる。

中田島砂丘でガンダーラ

 昨日までは延々と山間を走り続け、日本は本当に山ばかりだなーと思っていたのが嘘のように、目の前に広がる大パノラマ、見るもの全てをつつみ込んでしまうような雰囲気をかもしだす、 海です!
 彼方まで続く砂浜、 一路中田島砂丘に目指す。左手に海を見ながら走り続ける。しかし、右手に見える松林も感動を誘う。この道を走っていると心が洗浄される。(心を洗浄したい人は、一度、走る事をお奨めします。)
 感動に浸っているうちに砂丘に到着。
 「ここは日本?」 と言いたくなほど砂以外何もない空間が出現する。
 昔、夏目雅子主演の西遊記というドラマがあったが、そのエンディングテーマ「ガンダーラ」をふと思い浮かべ、一人で口ずさんでしまいました。(わかる人は、30才以上?)
 その後、海辺で今回の輪行も(ほぼ)目的達成と言う事で,記念撮影大会が繰り広げられる。

浜松!浜名湖と言えば!

 中田島砂丘での記念撮影大会も終わり,ライダージャージから私服に着替え、今回の輪行の最終目的である、うなぎ料理を堪能すべく、一路JR浜松駅付近を目指す。
 何処の店にするかは、すでに調査済みで(坂井特班員調べ)、浜松駅南にある”うな炭亭”を目指す。
 注文に迷うが、みんな、うなぎどんぶりと、うなぎ茶づけが楽しめる定食におちつく。
 この感動をTOMOSに伝えようとTELするが応答なし。
 空腹でうなぎの誘惑に負け、まーいいかー!ということになり、そのまま、今回の輪行が大きなトラブルもなく無事終了した事を祝って「乾杯。」?「いただきます。」!とお食事モードへ突入。今回、食した料理の撮影を忘れてしまった事がまことに残念。
 無論、本場のうなぎ。美味しくないわけがない。 大満足とはまさにこういう事をいうのであろう、この感動を文面で伝えきれないのがむっちゃくやしい。!
 「ごちそうさまでした。」

JR浜松駅を後に

 名残おしくも、うな炭亭を後に浜松駅を目指す。長そうで、短かった輪行もいよいよ終ろうとしている。
 JR浜松駅で、何のトラブルも無く走ってくれた自転車に感謝を込めて輪行袋へ収納する。各自御土産などの買出しにいそしむ。
 帰りの東海道線は途中、豊橋駅で乗り換えたが、いずれも1番前の車両に陣取り、電車でGO気分を楽しむ。(自分だけ?)名古屋駅で中央線に乗り換え、座って乗車する。ここにきてさすがに疲れていたのか、香ちゃんがすやすやとご就寝。夢を見る間も無く、出発地であり終着地であるJR土岐市駅へと到着する。
 たくさんの思いでを築いた今回の輪行も無事、幕をおろす。

感謝は喜びと笑顔にかわる。

 毎回、輪行の度に感心するのはTOMOS女性人のがんばりである。
 男だけで行動すると、偏ったベクトルに旅が染まってしまいがちだが、1輪の花があると、普段隠れている童心が顔を覗かせ、ワクワク、ドキドキといった感情が自然に湧き出してくる
 文面上ではあるが、今回の香ちゃんのがんばりに感謝したい。

 感謝したいと言えばやっぱり、今回の輪行の隊長である武ちゃんの…。(てれくさくて言えないぜ。)
 「好きでやってるんだから気にするな!」と、さらっと流されてしまいがちだが、ほとんどの計画を任せ、完璧なスケジュールでツーリングできたのも君のシュミレーションがあればこそであると本心で思いました。
 輪行へ行く前は、1日100kmは進めると、計画に苦言をはいていた自分を制止し、独自の計算でルートや、TIMEスケジュールを組み、もしもの時の算段まで考えてくれていたから、初日の最後の峠越えも真っ暗な中走り続けなくても済んだ。ありがとう! (次回の輪行計画もよろしく)

 一人ずつ感想を述べているが、やはり最後まで気になったのが、僕が誘った坂井くんの事でした。
 輪行の2日目と重なって開催されていた、鳩吹山でのパーティーみたいなレースは女の子がわんさかいたみたいだし、独身男性としてはそっちの方が良かったかも? なんだか悪いことをしてしまった気がしてなりません。
 本人は、性格上同件について真意を語りませんが、終始にこやか?に走り、夜な夜な冗談を披露していたことから、ちょっぴり安心しました。誘った事に間違いはなかったでしょー!
 今回の経験を、これから現れるであろう冒険者達に、是非伝え、付き合ってあげてほしいとせつに願います。

 輪行もかれこれ3回目、それぞれ、変え難き思い出ができました。
今回の天竜川輪行もそうであるが、自分たちで計画し、普段乗っている自転車を、半分アドベンチャーまがいな事に使う。普通の人では考えつかないことを共にやってくれる(長いですが)、この大切な仲間に最後に感謝したい。
 いつまでも、この気持ちを忘れず大切にし、人生を送っていけたら、それが”幸せ”であるとキザにも言えてしまう、秋の午後でした。


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